見えない「コスト」を意識するということ。
突然ですが。周りに無料のサービスって多いですよね。
昔からあるフリーペーパーをはじめ、Web関連だとFacebook、Twitter、Gmailなどなど。
そして行政のサービスもほぼ無料。
商工会開催の起業塾やセミナーなども無料のものが多いですよね。私も起業したてのときに利用させていただきました(そのときは5000円でしたが。それでも安い)。
こんなにすごいのが無料でいいの!?と思えるものが巷には溢れています。
どんなものにもコストは発生する
でもそれら無料のものには実はコストがかかっている・・・って意識したこと有りますか?
フリーペーパーには、取材・デザイン・印刷費用がかかりますが、広告主の存在によって無料提供を実現しています。
また行政のサービスにも人件費や施設費などがかかりますが、それを無料で利用できるのは、誰かが働いて納めた税金があるからこそ。
つまり表面的には無料であっても、すべて誰かのお金で支えられているのです。
企業で勤めていると、与えられた範囲内で仕事をすることが多いので、この「目に見えないコスト」について考えることはあまりないかもしれませんが。
起業するといろんな場面で、その「コスト」を意識する機会が格段に増えます。
時間もコストである
商品やサービスは、あらかじめ価格が設定されているのでコストについて意識しやすいのですが。
つい忘れがちなのが『時間』。
特に自分でやることに関しては、そこに目に見えるコストが発生しないため「無料」と思ってしまいがちですよね。
でも、その時間を他のことに充てたらひょっとしたら稼ぎに繋がっていたかもしれない。
そして事業が拡大して、自分がその作業をやっていてはとてもじゃないけど追いつかない・・・そんな場面では誰かにお願いするということも出てくるわけで、そうすると目に見える形でコストが発生します。
と考えると、自分で作業しているときも「これを人にお願いしたらいくらくらいなんだろう」ということを常に意識すべきなのです。
誰かに時間を割いてもらうことも「コスト」
で、自分のことならいいのですが。
よくあるのが「他人の時間を奪う」とことに対するコスト意識の欠落。
「あの人なら知ってるから聞いちゃおう」って気軽に聞いちゃうことってありますよね。
ただそこにコストが発生しているという意識ってなかなか湧きづらい。
でもね。あなたが電話したその1時間で、その人は他の仕事ができたかもしれない。
「ちょっとだけ」と思っていても、そう思っている人が10名いたら、かなりの時間を費やすことになる。
それにその人がその分野に精通しているのは、それまでたくさんの時間を費やして勉強したり経験を積んできたからなんですよね(もちろんそこにもコストがかかっているわけです。まさにTime Is Money)。
専門家として これからの信用に関わるからこそ適当に答えるわけにもいかないわけで。無料であってもきちんと回答する人がほとんどではないかな?と思います。
たとえば、「ちょっと風邪かな?」と思ってお医者さんに行くとき、お医者さんに対して「ちょっと聞いただけだし、何ともなかったから無料でいいよね?」なんて言う人はいないですよね。
それと同じだと思うんです。
かくいう私も、「ITのことよく知ってる人」ということで、無料でいろいろ聞かれるケースが増えてきて、あるときからIT相談を有料にさせていただきました。
口コミしていただいて、頼っていただけるのはとても有り難いことですし、お仕事を依頼したい!という思いがあってご相談いただけるのは大歓迎!なんですけどね。
でも有料にすることで「なんとなくこの人に聞けばいいんじゃない?」という方がほとんどいなくなり、「この人に聞きたい!」と思ってくださる方が真剣に相談に来てくださるようになり、思い切って有料にしてよかったなあ・・・と実感しています。
その見えない「コスト」を意識できるかどうか、で起業の成功が決まるかも!?
これまでいろんな方を見てきましたが。
起業してうまくいっている人はやはりこの「コスト感覚」をしっかり持っています。
わたしスタイルLABO代表の滝田さんが「くれくれ星人」という言葉を使っていましたが(笑)
「くれくれ」からいい仕事が生まれたという話は聞いたことがありません。
くれるかどうかは、基本的には相手(提供者)が決めることだし、そこに信頼関係や「この人のためなら」と思える気持ちがあってこそ。
そして無料のサービスがどうやって成り立っているか?を意識することはビジネス感覚を養うことにもつながるような気がします。
そんな想いを自戒の意味も込めて書いてみました。
今、私が進めているエリアマイスターは、他人のスキルに価値を認めることが大前提。
「くれくれ」の人が多く集まってしまったら、必要としてくださる方がいるとしても、維持できなくなることは目に見えています。
コストというと何となくマイナスのイメージの言葉にも聞こえますが。
「コスト=価値(お金を払う値打ちのあるもの)」と捉えることができるといいですよね。
(Photo by PAKUTASO)